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2020年10月30日

コラムvol.5『料金に関わることば』

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電気料金の仕組みや内訳の中で、分からない言葉はなかったでしょうか?
(電気料金については、こちらの記事でコラムvol.3『電力料金』)
「普段あまり耳にする事のない言葉ばかり…」という方が多いはず。今回はそれぞれの言葉について見ていきましょう。

■登場した用語を少し詳しく!
登場した用語を少し詳しく!
・総括原価方式
電気を安定して供給するために必要なコストと利益が得られるように、電気料金を決定していた方式。
この方式は公共性の高いものに対して用いられ、電気だけでなく、ガスや水道など、公共料金で主に採用されています。電力自由化と時期をあわせ、2020年4月までにこの方式を撤廃しようという動きがありましたが、すでにこの方式が日本全国に浸透しており、消費者の混乱を抑えるため、今なお継続しています。


・電力量料金単価
電気の使用量に応じて金額の変わる料金です。
-三段階料金 (逓増 [ていぞう] 料金とも言われています。)
電気料金の単価設定が三段階で決められており、使用量に応じて単価が変わります。
電力自由化前からの料金制度ですが、いまだ電気料金計算の主流です。
三段階料金
-1段階料金:日本では憲法25条をもとに「健康で文化的な最低限度の生活水準」(ナショナルミニマム)を送るため考慮された料金
-2段階料金:標準的な家庭の1ヶ月の電気料を踏まえた平均的な料金
-3段階料金:電力を多く使った人向けの一番割高な料金
新日本エネルギーでもこの方式で電気料金を計算しています。
例えば、東京電力管内の場合、0~120kWhまでを第1段階、120~300kWhまでを第2段階、300kWh以上を第3段階と設定しています。料金単価は段階を追うごとに高くなっています。


この制度が導入されたのは節電を促進する目的があり、その背景には第1次石油危機がありました。1973年の当時、火力発電に必要な石油・石炭といった化石燃料のほとんどを輸入に頼っていた日本は、原油価格高騰の煽りを大きく受けることとなり、電気料金の高騰という問題に直面しました。そこで、皆が省エネを意識すれば、必要な発電量を抑えることが出来、それに伴い発電に必要な燃料コストも抑えられるという考えから、1段階目(電気を使わない家庭)は安く、3段階目(電気をよく使う家庭)が一番高くなったというわけです。また、料金の高騰が抑えられれば、生活に欠かせなくなった電気がすべての家庭へ向けて安定供給出来るという、まさに一石二鳥の仕組みなのです。


・燃料調整単価
火力発電に利用される原油や液化天然ガス(LNG)、石炭などの化石燃料は、ほとんどを外国からの輸入でまかなっています。その為、化石燃料の価格は卸売市場や、為替ルートなどといった外部からの影響を受け、常に変動しています。こうした化石燃料の価格変動に応じて電気料金を調整する費用です。
(この燃料調整単価については、また別のコラム内で詳しく触れたいと思います。)


・再生可能エネルギー発電促進賦課金( 再エネ賦課金 )
太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーによって発電した電気を電気事業者が買い取り、その費用を電気契約者全員で負担する費用と制度です。
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)


このコラム内でも触れたように、現在日本では発電用の化石燃料をほとんど外国からの輸入に頼っている状態です。エネルギー自給率が低い事は、国際情勢の変化に大きく影響を受けるなど、様々なリスクが潜んでいます。そんな現状を改善するために、エネルギー自給率の向上、そして再生可能エネルギーの普及を目指しています。しかし、再生可能エネルギーでの発電コストは依然として高いです。そこで、再エネ賦課金により、コストをまかない、導入の促進を目的としています。


・託送料金
送電するための費用として送配電網を所持している送配電事業者に支払う料金。
これを、一般家庭などの需要家から毎月、電気料金の一部から徴収しています。
託送料金
小売電気事業者は、託送料金を支払わないと電気を提供することができません。そこで、託送料金が割高で設定された場合、必然的に私達の支払う電気料金は高くなります。つまり、託送料金は私達の支払う電気料金に大きな関係があります。


・購入電力料
他社電源から調達する場合に発生する費用のことです。新電力は発電所を保有していない事業者も多く存在するので、新電力に切り替えた際の電気料金には、内訳に表示されていなくても、この料金の影響を受けている可能性があります。


■おわりに
vol5おわりに
電気に関する状況が変化していく中で、これまで解説してきたものも変化してきています。
統括原価方式。これまで、電力会社の経営安定、そして電力と電気料金の安定をもたらしていましたが、自由化により料金の構造が変化していくため、いずれは撤廃されていくでしょう。また、三段階料金が採用されないプランも登場しています。三段階よりもシンプルな二段階のプランや、ポイント付与や他サービスとのセットプランなど、これまでとは違い、電気の使用量以外を判断材料にすることが出来ます。今後、電力市場がより活発になれば、この料金体系の変化もより大きく、より自由になるはずです。(「電気使い放題!」なんてプランも出てくるかもしれません. . .)


電気料金を構成する言葉はやはりあまり聞き馴染みのないものが多い印象です。
自由化により様々な料金プランがある昨今。どの様な要素から電気料金が請求されているのかが少しでも分かれば、契約する電力会社を決める際に、口コミや評判はもちろんですが、「自分にとって」どのプランが合っているのか、より判断しやすくなるのではないでしょうか。