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2020年10月15日

コラムvol.3『電力料金』

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電力自由化によって沢山の料金プランやサービスが出てきているからこそ、各家庭にあったものを選びたいですね。
ただ、電気は目に見える「もの」ではなく、目に見えない商品です。「高い材料だからいい」「安いから質が落ちる」という普通の商品のものさしでは測れません。
そこで、みなさんが普段お金を払っている電気はどの様に価格が決まっているのかを一緒に見ていきましょう。

電気料金の仕組みって?

電力自由化によって、家庭や商店などでも電力会社や、料金プランを選べる様になりました。(自由化については、こちらの記事でコラムvol.1 『電力自由化って?』)


電気料金は「総括原価方式」という計算で料金を決めています。
電気の場合には、以下の4つの項目を合計して料金を決める方法で、
水道やガスなどの他の公共料金でも用いられています。


・基本料金:電気の使用量に関わらず発生する料金(基本料金ではなく、最低料金を設けている電力会社もあります)
・電力量料金単価:電気の使用量に応じて金額の変わる料金です。三段階の単価料金を採用している電力会社がほとんどです。
・燃料調整単価:化石燃料の価格変動に応じて、電気料金を調整するものです。
・再生可能エネルギー発電促進賦課金:再生可能エネルギーによって発電した電気を電気事業者が買取り、その費用を契約者に負担してもらう為の料金です。
電気料金
「総括原価方式」の良いところは、ズバリ「安定した経営が出来る」というところ。
電気・ガス・水道など生活に不可欠な公共設備を、
安定した状態で維持していくのには、大変なコストが発生します。
そこで、発電から供給までにかかった費用のすべて
(火力発電の燃料費用や、電線の費用、作業員の人件費など)を、
公正に計算し各家庭の請求金額に反映させることで、安定供給を実現出来るというわけです。
しかし、安定した利益を出す為に採用されていた総括原価方式は、
「安定」を生み出すのだから仕方のないことかもしれませんが、市場の競争を促す効果はありません。


そこで、経済産業省では電力自由化の発展と時期をあわせて、2020年4月までにこの方式を撤廃しようという動きがありました。しかし、すでにこの方式が日本全国に浸透しており、新電力の制度に馴染みがないという方もいるでしょう。そんな中で新電力が一気に独自の料金設定を行い始めては、クレームやトラブルが増えてしまうだろうというところから、今なお継続しています。

電気料金の内訳あれこれ

電気料金の内訳あれこれ
さて、新電力各社による様々なプランが提案される様になったのは、電力自由化がどんな影響を与えたからでしょうか?(電気料金の構成要素の中には、聞き覚えのない言葉もあると思います。長くなるのでそれについてはまた、別のコラムで…!)

総括原価方式からさらに細かく料金設定を見てみると、まず、法令などにより決められている費用があります。
-法令などにより決められている費用
 【託送料金、様々な税金、再生可能エネルギー発電促進賦課金】
これらは法令などにより決められているので、どの事業者も自由に決めることはできません。
何か変更するという場合には、電気事業法や関係法令に基づいた厳正な審査と、消費者からの意見を聴取する公聴会などの調査を行った上で、経済産業大臣が判断を下します。
ということは、どこの会社のどのプランであってもこの部分は同じく請求されます。


ここに事業者の裁量で決められる費用を加えたものが、電力自由化後の電気料金を決めていくうえでの要素となっています。また、その事業者が自社発電を行っている / 行っていないという違いもあり、細かなところで各社の違いが出てきます。


・事業者の裁量により決められる費用
-自社で発電所を持つ事業者
 【燃料費、減価償却費、修繕費、その他経費】
-他社が発電したものを仕入れ調達している事業者
 【購入電力費】
※人件費やその他の経費はいずれの場合でも発生します。
電気料金自由化後
この「事業者の裁量で算定される」部分。ここが重要なポイントです。
経営の効率化によるコストカット、かかった費用を消費者がどこまで負担するか、
といった各事業者の判断や努力がそのままサービスの向上に繋がっており、新電力市場に様々なプランが登場したというわけです。

おわりに

電力自由化前後で電気料金の内訳は変化しました。単に新しい企業が参入してくるというだけではなく、
企業努力が反映されやすくなる制度があることが、非常に大きな意味を持っています。
今後も競争が活性化していけば、より良いサービス、より良い価格が次々に生まれていくことでしょう。
次の電気料金をお支払いの際には、料金の内訳をぜひ確認してみてください。