2020年11月14日
注意: このコラムは4年1か月前に書かれたものです。情報が古い可能性がありますので、ご利用の際にはご注意ください。新日本エネルギーが提供する現在のサービスの詳細については電気供給約款のページをご参照ください。
再生可能エネルギー。多くの人が聞いたことがある言葉でしょう。 以前のコラムでも少し紹介した、再生可能エネルギー発電促進賦課金が、電気料金に含まれるなど、再生可能エネルギーの普及を国も進めています。 今はまだ火力発電が主流のままですが、これから日本でも、 再生可能エネルギーにより発電された電気に代わっていくでしょう。 そこで、再生可能エネルギーのこれまで、今、そしてこの先について触れていきたいと思います。 この先は再生可能エネルギーを”再エネ”と表記させて頂きます。 ■再エネの特徴 再エネと呼ばれるものには、共通の特徴が3つあります。 ①エネルギー源が枯渇しないこと。再生可能といっているだけあり、燃料がなくなることがないエネルギーが該当します。法律でも、「資源が永久に枯渇しないこと」を前提としています。 ②電力を生み出す際に、温室効果ガスを排出しないこと。その理由は、エネルギー自体の持つ熱や動力により発電を行うからです。 ③エネルギーを調達するにあたり、基本どこにいても可能であること。
上記の通り、実は単に温室効果ガスを排出しないという点で、 再エネに定義されているわけではないというのがポイントです。 例えば、原子力発電はウランを必要としておりますが、 ウランはこの先枯渇すると推測されているため、再エネの定義に該当しません。
環境に優しいイメージにプラスして、「持続して発電出来ること」という重要なテーマがあります。様々な環境問題に直面している現代だからこそ、これらの特徴が定義されていると言えるのではないでしょうか。 ■メリット、デメリットを考える とはいえ、いまだに火力発電が主流なのはなぜでしょう? 全面的に再エネへ切り替えることが出来ないのには理由があります。 再エネのメリット、デメリットを考えてみましょう。
メリット:前述の通り、資源が枯渇することがなく、発電し続けることができます。そして、温室効果ガス (*1) を出さないので、環境に優しい。
デメリット:再エネによる発電を行うための機器の導入にコストも時間もかかってしまう。また、太陽光や風力など、季節や気候などの環境に発電量が左右されてしまう。
技術が進歩しているとはいえ、再エネの安定した発電には課題が残っています。 ■再エネ発電の種類 実際に再エネと呼ばれるものはどういったエネルギーで、 どの様に電気になっているのでしょうか。 代表的な5つの再エネについて紹介します。
・太陽光発電:こちらは、再エネと聞いて真っ先に思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか? 太陽光を太陽電池に当てることで、電力を生み出します。屋根や壁などに設置することが出来るため、密集した都市部などでも、土地や建物などを有効活用できます。発電には太陽からの「熱」ではなく、「光」をエネルギーとして利用します。
・風力発電:風車を利用し、風のエネルギーを運動エネルギーに変換することで、タービンを回して発電します。一定の風力があれば、24時間ずっと発電することが出来る上に、エネルギー変換効率が高いため、小規模なものでも十分な量の発電が期待出来ます。ただし、風の力に頼るため、発電の効率を最大限発揮できる場所が限られてしまうというデメリットがあります。特に日本では平坦で広大な土地が少なく、台風も多いことから、全国各地で広まっているわけではありません。この点では、欧米に比べるとまだまだ導入が遅れています。この弱点を補うため、最近では、海の上に風車を設置する洋上風力発電という新しい発電方法が注目されています。
・水力発電:水が流れる高低差の位置エネルギーを利用し、タービンを回します。こちらも規模は様々ですが、河川の多い日本ではクリーンな発電として、日本の発電を支えてきました。近年では、地方自治体が主導し、地域を流れる農業用水路や川の上流に発電施設を設置するケースが増えており、中小規模でも非常用電源の確保や売電による収益を他の建物や土地の管理費用にあてたりと、エネルギー自給自足の試みが行われています。
・地熱発電:火山国である日本には多くの活火山が存在します。そのため地熱地帯が多く、その地熱エネルギーを使った蒸気と熱水でタービンを回して、発電します。半永久的に安定して発電を続けることができる純国産エネルギーです。また、発電に使用した蒸気や熱水は、ハウス栽培農業の熱源などにも再利用することがでるなど地熱特有のメリットがあります。
・バイオマス発電:一般家庭の可燃ごみや食品工場などの生ごみ。木くずや家畜糞尿といった動植物から生まれた生物資源など、化石燃料以外のものを燃焼させて発電を行う方式です。直接燃やす場合もありますが、木材・生ゴミを発酵させた際に生じるガスを発電に利用することもあります。他の再エネに比べ、場所をあまり限定することなく利用できるため、都市部のごみ収集場に発電施設を作る…といった、地産地消のエネルギーが期待されています。
バイオマス発電や洋上風力発電など、パッと聞いてイメージしにくい発電方法については、また別のコラムで触れたいと思います。 ■なぜ再エネを進めるのか なぜ、再エネの普及が進められているのでしょうか。 まずは、化石燃料エネルギーからの脱却です。環境問題であったり、地球温暖化をはじめとした気候変動の問題など、二酸化炭素排出の改善取り組みは各国が行っています。 また、日本のエネルギー自給率は先進国の中でも、極めて低いです。整備されたインフラを維持するためには、電気が必要ですが、火力発電が主流の日本では発電するための原料をほとんど輸入に頼っています。これから先も世界中でエネルギー需要が増えることは予想される中で、国内で安全かつ持続的に自給できることが大きな課題となります。 そして、地域経済の活性化です。地方には、木材などの資源が豊富であったり、発電施設を建設することのできる土地があったりと、再エネでの発電を行うには有利な条件が揃っています。地域で生まれた再エネ資源を活用し、電気を作り出すことは、電気の地産地消にも繋がり、雇用や税収の増加も見込まれ地域経済の活性化に繋がります。
環境問題・地域経済など、国内外の様々な課題を解決する可能性を持つ再エネの普及は、石炭・石油に依存していた今までのエネルギー業界の大きな変革につながります。 ■おわり 今回は、再エネの特徴を紹介しましたが、普及が進められている理由が見えてきましたか?地球温暖化への関心や資源の枯渇が世界的に問題となっている今では、エネルギーにまつわる問題は単なる国内だけのものではありません。今後、再エネが身近になっていけば、みなさんが普段使用する電気にも影響を及ぼし、料金やプランにも変化が出てくるでしょう。
例えば、再エネ発電から家庭への供給までをトータルで行う企業が出てくれば、地元で発電したものを地元の小規模なコミュニティ内で消費するという新しいビジネスモデルが誕生するかもしれません。最小限の規模で行えば、送電線などの設備コスト(託送料金)を抑えたり、燃料調整費を請求する必要もありません。電気料金にそのまま反映されることになります。
地球温暖化は抑えるけれど、家庭の懐事情は温める。再エネの可能性と最新情報に注目してみるのも面白いと思います。
(*1) 温室効果ガスは、地球温暖化の原因とされる大気中の気体の総称ですが、実は二酸化炭素以外にも、メタン・一酸化二窒素・フロンなど複数の種類があります。特に二酸化炭素は「化石燃料の燃焼」が排出の主な原因となっています。 出典・リンク: 気象庁「知識・解説 > 地球温暖化 > 温室効果ガスの種類」 ※外部サイトを開きます。
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注意: このコラムは4年1か月前に書かれたものです。情報が古い可能性がありますので、ご利用の際にはご注意ください。新日本エネルギーが提供する現在のサービスの詳細については電気供給約款のページをご参照ください。
再生可能エネルギー。多くの人が聞いたことがある言葉でしょう。
以前のコラムでも少し紹介した、再生可能エネルギー発電促進賦課金が、電気料金に含まれるなど、再生可能エネルギーの普及を国も進めています。
今はまだ火力発電が主流のままですが、これから日本でも、
再生可能エネルギーにより発電された電気に代わっていくでしょう。
そこで、再生可能エネルギーのこれまで、今、そしてこの先について触れていきたいと思います。
この先は再生可能エネルギーを”再エネ”と表記させて頂きます。
■再エネの特徴
再エネと呼ばれるものには、共通の特徴が3つあります。
①エネルギー源が枯渇しないこと。再生可能といっているだけあり、燃料がなくなることがないエネルギーが該当します。法律でも、「資源が永久に枯渇しないこと」を前提としています。
②電力を生み出す際に、温室効果ガスを排出しないこと。その理由は、エネルギー自体の持つ熱や動力により発電を行うからです。
③エネルギーを調達するにあたり、基本どこにいても可能であること。
上記の通り、実は単に温室効果ガスを排出しないという点で、
再エネに定義されているわけではないというのがポイントです。
例えば、原子力発電はウランを必要としておりますが、
ウランはこの先枯渇すると推測されているため、再エネの定義に該当しません。
環境に優しいイメージにプラスして、「持続して発電出来ること」という重要なテーマがあります。様々な環境問題に直面している現代だからこそ、これらの特徴が定義されていると言えるのではないでしょうか。
■メリット、デメリットを考える
とはいえ、いまだに火力発電が主流なのはなぜでしょう?
全面的に再エネへ切り替えることが出来ないのには理由があります。
再エネのメリット、デメリットを考えてみましょう。
メリット:前述の通り、資源が枯渇することがなく、発電し続けることができます。そして、温室効果ガス (*1) を出さないので、環境に優しい。
デメリット:再エネによる発電を行うための機器の導入にコストも時間もかかってしまう。また、太陽光や風力など、季節や気候などの環境に発電量が左右されてしまう。
技術が進歩しているとはいえ、再エネの安定した発電には課題が残っています。
■再エネ発電の種類
実際に再エネと呼ばれるものはどういったエネルギーで、
どの様に電気になっているのでしょうか。
代表的な5つの再エネについて紹介します。
・太陽光発電:こちらは、再エネと聞いて真っ先に思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか? 太陽光を太陽電池に当てることで、電力を生み出します。屋根や壁などに設置することが出来るため、密集した都市部などでも、土地や建物などを有効活用できます。発電には太陽からの「熱」ではなく、「光」をエネルギーとして利用します。
・風力発電:風車を利用し、風のエネルギーを運動エネルギーに変換することで、タービンを回して発電します。一定の風力があれば、24時間ずっと発電することが出来る上に、エネルギー変換効率が高いため、小規模なものでも十分な量の発電が期待出来ます。ただし、風の力に頼るため、発電の効率を最大限発揮できる場所が限られてしまうというデメリットがあります。特に日本では平坦で広大な土地が少なく、台風も多いことから、全国各地で広まっているわけではありません。この点では、欧米に比べるとまだまだ導入が遅れています。この弱点を補うため、最近では、海の上に風車を設置する洋上風力発電という新しい発電方法が注目されています。
・水力発電:水が流れる高低差の位置エネルギーを利用し、タービンを回します。こちらも規模は様々ですが、河川の多い日本ではクリーンな発電として、日本の発電を支えてきました。近年では、地方自治体が主導し、地域を流れる農業用水路や川の上流に発電施設を設置するケースが増えており、中小規模でも非常用電源の確保や売電による収益を他の建物や土地の管理費用にあてたりと、エネルギー自給自足の試みが行われています。
・地熱発電:火山国である日本には多くの活火山が存在します。そのため地熱地帯が多く、その地熱エネルギーを使った蒸気と熱水でタービンを回して、発電します。半永久的に安定して発電を続けることができる純国産エネルギーです。また、発電に使用した蒸気や熱水は、ハウス栽培農業の熱源などにも再利用することがでるなど地熱特有のメリットがあります。
・バイオマス発電:一般家庭の可燃ごみや食品工場などの生ごみ。木くずや家畜糞尿といった動植物から生まれた生物資源など、化石燃料以外のものを燃焼させて発電を行う方式です。直接燃やす場合もありますが、木材・生ゴミを発酵させた際に生じるガスを発電に利用することもあります。他の再エネに比べ、場所をあまり限定することなく利用できるため、都市部のごみ収集場に発電施設を作る…といった、地産地消のエネルギーが期待されています。
バイオマス発電や洋上風力発電など、パッと聞いてイメージしにくい発電方法については、また別のコラムで触れたいと思います。
■なぜ再エネを進めるのか
なぜ、再エネの普及が進められているのでしょうか。
まずは、化石燃料エネルギーからの脱却です。環境問題であったり、地球温暖化をはじめとした気候変動の問題など、二酸化炭素排出の改善取り組みは各国が行っています。
また、日本のエネルギー自給率は先進国の中でも、極めて低いです。整備されたインフラを維持するためには、電気が必要ですが、火力発電が主流の日本では発電するための原料をほとんど輸入に頼っています。これから先も世界中でエネルギー需要が増えることは予想される中で、国内で安全かつ持続的に自給できることが大きな課題となります。
そして、地域経済の活性化です。地方には、木材などの資源が豊富であったり、発電施設を建設することのできる土地があったりと、再エネでの発電を行うには有利な条件が揃っています。地域で生まれた再エネ資源を活用し、電気を作り出すことは、電気の地産地消にも繋がり、雇用や税収の増加も見込まれ地域経済の活性化に繋がります。
環境問題・地域経済など、国内外の様々な課題を解決する可能性を持つ再エネの普及は、石炭・石油に依存していた今までのエネルギー業界の大きな変革につながります。
■おわり
今回は、再エネの特徴を紹介しましたが、普及が進められている理由が見えてきましたか?地球温暖化への関心や資源の枯渇が世界的に問題となっている今では、エネルギーにまつわる問題は単なる国内だけのものではありません。今後、再エネが身近になっていけば、みなさんが普段使用する電気にも影響を及ぼし、料金やプランにも変化が出てくるでしょう。
例えば、再エネ発電から家庭への供給までをトータルで行う企業が出てくれば、地元で発電したものを地元の小規模なコミュニティ内で消費するという新しいビジネスモデルが誕生するかもしれません。最小限の規模で行えば、送電線などの設備コスト(託送料金)を抑えたり、燃料調整費を請求する必要もありません。電気料金にそのまま反映されることになります。
地球温暖化は抑えるけれど、家庭の懐事情は温める。再エネの可能性と最新情報に注目してみるのも面白いと思います。
(*1) 温室効果ガスは、地球温暖化の原因とされる大気中の気体の総称ですが、実は二酸化炭素以外にも、メタン・一酸化二窒素・フロンなど複数の種類があります。特に二酸化炭素は「化石燃料の燃焼」が排出の主な原因となっています。
出典・リンク: 気象庁「知識・解説 > 地球温暖化 > 温室効果ガスの種類」
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