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2024年9月6日

コラムVol.15『電気・ガス料金支援はいつまで続くの?~省エネ対策とともに学ぼう!~』

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2024年春、電気・ガス料金に対する支援がなくなるとの発表を受け、料金が値上がりするというニュースが大々的に報じられました(例えば、2024年4月1日付け日本経済新聞電子版「4月からこう変わる 電気代値上げや残業規制強化」)。
その後、政府からの支援再開の発表もありましたが、期間は限定的です。
今回は政府による支援の内容について改めて振り返るとともに、政府による支援が終了する時に備えて省エネのための工夫を学びましょう。

電気メーターの写真

■電気・ガス料金の値引きが始まったのはなぜ?

値引きの仕組みを知るため、まずは大手電力会社が提供する一般的な契約プランにおける 電気料金の内訳について紹介します。
一定の使用量までの最低料金またはアンペア数に応じた基本料金 、毎月の使用量に応じた電力量料金、そして再生可能エネルギー発電促進賦課金といった項目で構成されています。また電力量料金には、火力発電の燃料であるLNG(液化天然ガス)・石炭・原油の価格変動を調整するために燃料費調整という仕組みが取り入れられています。
なお電力小売の完全自由化により、異なる料金体系が設定されている場合もあります。新日本エネルギーでも大手電力会社とは異なる料金体系を設定しており、特に価格変動の反映の割合を限定しているところが特徴になっています。
さて、近年は国際情勢の緊迫化により、燃料の輸入価格が高騰していきました。
その結果、大手電力会社から値上げの料金改定の申請があり、2023年6月からの電気料金の値上げが決定しました。値上げ率は標準的な家庭において14%から42%の幅と試算されています 。

[参考情報]
電気・ガス料金支援|経済産業省 資源エネルギー庁(2024年7月28日閲覧)
2024年春までの電気・ガス価格激変緩和対策の継続に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました(METI/経済産業省)(2024年7月28日閲覧)

■値引きはどんなかたちでおこなわれていたの?

この状況を踏まえ、政府は「電気・ガス価格激変緩和対策」として家計や企業の負担を軽減するために電気・ガスの使用料に応じた料金の値引きによる支援をおこなってきました。
値引き支援が開始したのは2023年1月の使用分(2月検針分)からであり、当初は同年9月使用分(10月検針分)までの予定であったものが同年12月使用分(翌年1月検針分)まで延長されていました。ただ2023年11月に「デフレ完全脱却のための総合経済対策」というものが閣議決定され、これに基づき翌年の2024年5月使用分(6月検針分)までさらに延長することが決定しました。
値引きは、国が値引き原資を電気・都市ガスの小売事業者などに支給して、その原資を基に小売事業者が家庭・企業などの電気料金を値引きするというかたちでおこなわれていました。また値引きの金額は、電気と都市ガス、そして電気のなかでも一般家庭や小規模店舗・事業所などに向けた低圧と、中小規模の工場や学校などに向けた高圧と、使用区分によって分かれていました。
具体的な値引き単価は2024年4月使用分(5月検針分)まで低圧が3.5円/kWh、高圧が1.8円/kWh、都市ガスは15円/㎥。2024年5月使用分(6月検針分)のみ低圧が1.8円/kWh、高圧が0.9円/kWh、都市ガスは7.5円/㎥となっていました。
その後、2024年6月21日の総理大臣記者会見にて「酷暑乗り切り緊急支援」というものが発表されました。これは2024年8月使用分(9月検針分)から10月使用分(11月検針分)まで、再び電気・ガス料金が補助されるというものです。
値引き単価は、8・9月使用分で低圧が4.0円/kWh、高圧が2.0円/kWh、都市ガスは17.5円/㎥、10月使用分で低圧が2.5円/kWh、高圧が1.3円/kWh、都市ガスは10.0円/㎥です。

[参考情報]
電気・ガス料金支援|経済産業省 資源エネルギー庁(2024年7月28日閲覧)
2024年春までの電気・ガス価格激変緩和対策の継続に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました (METI/経済産業省)(2024年7月28日閲覧)

■値引き支援がなくなったあとに備えて省エネの工夫を知ろう!

ただこの支援はいつまでも続くわけではありません。
ここから、身近な家電などでできる省エネの工夫を知り、値引き支援がなくなったときに備えていきましょう。
【冷蔵室はすき間をあける/冷凍室はすき間を詰める】
まずは冷蔵庫を取り上げます。冷蔵庫は、設定や機能の活用のほか、お手入れや日々の使い方も工夫ができます。

冷蔵庫の写真

まずは設定や機能について、節電モードがある機種であれば節電モードを、ない機種であれば「弱め(弱)」を設定しましょう。ただし、これらの機能は周囲の環境や開閉回数などによって食材に影響が出てしまう可能性があります。夏場をはじめ、保存している食品がぬるい場合には設定を変更しましょう。
お手入れでは、背面や側面にあるダクト(排気口)の汚れやホコリを取り除くことが有効です。空気の流れが良くなることで消費電力を抑えられるようになります。
そして日々の使い方でもっとも意識できる余地があるのはドアの開閉回数や時間を減らすことです。とくに夏場は周囲の温度が高いため、外気が入り込むと冷蔵庫内に暑い空気が入ってしまい、庫内が冷えにくくなってしまいます。ドアが少し開いている、ということもないようしっかりと閉めて冷気を逃さないようにしましょう。
また冷蔵室は冷気の通り道を作るためにすき間を開けること、冷凍庫は冷気を保ちやすくするためにすき間を少なくすることが大切です。未開封・常温保存が可能で、食べるまでには時間がかかるようなものは冷蔵庫に置かないというのも有効でしょう。

[参考情報]
できることから、みんなで節電:日立の家電品(2024年7月28日閲覧)

【正しい使い方で電池を長持ちさせよう】
また充電を伴う機器類は、使用時間を長くするための工夫や電池を長持ちさせることが有効です。ここではコードレス掃除機について紹介します。

掃除機の写真

皆さんのなかに電池が切れかけのタイミングでもうちょっと使える…と思い、スイッチを連打したことがある方がいらっしゃるかもしれません。実はこの行動、電気を無理に放電させることにつながるため、結果として電池寿命を短くなってしまいます。
電池を長持ちさせるには、使用時間にかかわらず毎回使用後に充電をすることが大切です。なお、充電完了後は自動で充電が止まるため、充電アダプターは本体から抜かなくても問題ありません。ただし1ヶ月以上使わない場合には、満充電になったあとに充電アダプターから外しておくとよいでしょう。

[参考情報]
コードレス掃除機の電池(バッテリー)を長持ちさせる充電方法は – 掃除機(2024年7月28日閲覧)

【省エネ家電への買い換えも効果的!】
省エネの工夫として、省エネ家電への買い替えも有効です。白熱電球からLED電球に買い替える場合を見てみましょう。

LED電球のイメージ

まず白熱電球とLED電球では定格寿命が約40倍も異なります。またLED電球は消費電力が低く、消費電力が約86%カットできるというデータもあります。消費電力による節電効果のほかにも、交換によるコストも防げるということです。なお、交換の際には本体の大きさ、器具のほかに、口金のサイズなども十分に確認しましょう。
ちなみに現在、省エネ家電を買い替えた場合に補助金を支給する自治体もあります。家電を買い替える際などには、「お住まいの自治体名+省エネ家電」などのキーワードで検索してみるのがよいでしょう。

[参考情報]
白熱電球からLED電球へ交換するポイント!違いと注意点を詳しく解説(2024年7月28日閲覧)

■おわりに

今回は電気・ガス料金支援と省エネの工夫について触れてきました。この記事がご自身の生活に合った省エネ方法を探すきっかけになればと思います。
ライフハックライター 依田彩那(中小企業診断士)